税理士資格を持っていると転職に有利なのか?

税理士資格 転職ノウハウ

「経理の仕事をしていたら、会社の数字は奥が深いということに興味を持った」「会社を大きくするにはどうすればいいのだろう」そのような興味から、税理士という仕事に興味を持って、転職をしたという話はよく聞きます。

しかし一言で転職と言っても、税理士という仕事は国家資格を持っていなければできません。

ではどうすれば良いのでしょうか。

それは、税理士事務所や税理士法人への転職をすることで、その願いは叶えられるのです。

しかし先にも触れたように、税理士は国家資格です。

では、やはり税理士資格がある方が転職には有利なのでしょうか。

本当に有利?税理士資格がある場合とない場合

周囲が持つ印象は、税理士資格がある方が有利という考え方なのではないでしょうか。

しかし必ずしもそうとは言い切れないのです。

税理士といえども、毎月お客様のところへ出向き帳簿の中身をチェックして1年間の総決算として決算申告を行うというこの一連の流れは、資格があってもなくても変わりがありません。

もちろん、将来独立して自分でやっていきたいと思うのであれば必要不可欠ですが、転職に絶対有利かと言われればそうではありません。

すでに存在している有資格者の存在

税理士事務所や税理士法人にはすでに有資格者が存在します。

もちろんその有資格者が退職するので、欠員補充で人材が欲しいとなれば有資格者が有利であることは言うまでもありません。

しかし、もしお客様のところへ出向き決算申告の業務を手伝って欲しいというのが人材募集の趣旨であるなら、その時は実務経験者を求めていることになります。

そうなると、資格を持っていても実務経験がない人の場合はたちまち不利になってしまうのです。

どのような人材を求めているかがポイント

意義な転職活動にしたい、転職後「失敗した」と思いたくない、誰もが願うのはこの点ではないでしょうか。

確かに転職後でなければ社風が自分にあっているのかいないのかはわからないかもしれません。

しかし、そもそもどのような人材を求めているのか、その点を理解せずに転職活動をして入社した場合、明らかにミスマッチが起こっているとその時点で判断することができます。

このミスマッチは、求人情報をしっかりと把握していない、理解していないがために起こってしまうのです。

どのような業種にでも言えますが、その税理士事務所で自分がやりたいことと、募集している人材の内容が一致しているか、そこを見極めることが必要です。

どうやって見極める?求めている人材

例えば、多くの個人事務所の場合「まずは所長の車の運転から始めてもらいます。

」という内容を掲載している事務所があります。

これはどのような事務所なのかをまず知ってもらい、どのような顧客が多く、そしてどのような仕事をするのかということを肌で感じてもらうためです。

この内容が意図しているものは、税理士事務所を知らなくてもいいから長く働いてもらえる人を探している、という事が念頭にあります。

まずは続くことが前提です。

お客様は、自分の会社の大切な帳簿を税理士事務所には開示するわけですから、信用できない相手ではダメなのです、逆を返すと、いきなりそのような大切なものを知らない人に見せるようなお客様はいません。

まずは信用を得ること、それには時間がかかることをわかっている人を探しているということになります。

実は敬遠されるケースがある有資格者

税理士業界独特の言い回しかもしれませんが、「有資格者」という表現があります。

これは、資格はあるけれど登録はしていないという人を指します。

税理士は試験に合格しても実務経験がなければ登録ができません。

もちろん、実務が先でも試験が先でもいいですのですが、登録には必ず実務経験が必要になります。

最近の税理士業界のウワサ

最近、多くの事務所でまことしやかに囁かれているのが「年配の有資格者は、プライドだけが高く事務所の雰囲気に順応しない」という内容です。

年配の資格者全てがそうだとはい言いませんが、実はこれ、多くの税理士事務所が抱えている問題でもあるのです。

「郷にいれば郷に従え」ということわざがありますが、まさしくこれはそのいい一例です。

実務経験がない有資格者は、まずその事務所が使用している会計ソフトになれることから始まります。

年下の先輩に教えを請わなければならず、さらにその事務所のルールにも従わなければなりません。

これができなければ、資格があっても何も活用できないのです。

そのため、せっかく入所できた事務所を退職しなければいけないという結果になります。

これだと、採用した側もされた側も時間のロスが生じてしまいます。

非常にもったいない話です。

だからといって、そのような人は採用されないのかと言えばそうではありません。

税理士法人を立ち上げようという個人事務所の場合であれば、有資格者の存在が必要になりますから、必ず税理士資格を持っている人を採用せざるを得ないのです。

どのような人材を求めているかがキーポイント

転職を成功させるためのカギは、その事務所が求めている人材がどのような人なのかを確実に捉えることです。

ここを見誤ってしまっては、資格がなくても採用される求人に応募したり、逆に資格が必要なのにもかかわらずないものが応募してしまう、というミスマッチが生じてしまいます。

もちろん「この事務所に入りたい」と事務所自体に限定して転職活動をしようとする人もいます。

その場合はそれで問題はありません。

一番転職に対して重要なポイントがどこにあるかは人によって違います。

ですからまずは「なぜ転職をしたいのか」「転職に自分が求めるものは何なのか」を明確にする必要があります。

結局、税理士資格を持っている方が有利なのかどうか

絶対に税理士資格を持っている方が有利だとは断言できません。

実務経験がものをいう場合もあります。

その場合はいくら資格があっても採用されることはありません。

また、できれば資格があって実務経験もあるといった方が、断然転職活動には有利であることがわかります。

ただしこれは、税理士事務所へ転職したいと考えている場合です。

最近は、一般企業の経理部門で、税理士資格を持っているが登録はしていないという有資格者を求めているケースが増加しています。

このような場合、特に税理士事務所へのこだわりがないといった人にとっては、税理士資格を持っているということが大きな武器になることは言うまでもありません。

企業内税理士のような役割を果たす人というのも最近は求められているのです。

自分がどのような環境で働きたいかを明確にできれば、資格を持っていてもいなくても、必ず転職活動はうまくいくのです。

まとめ

税理士資格を持っている方が、転職活動に有利だと思いがちですが、実はそうではないということもケースによってはあり得ることがわかります。

いかに有意義な転職を行うかは、自分次第で大きく変わる、求人内容の読み方で無駄な応募をしなくて済むということがわかります。

転職活動はどのような人でも一人で戦わなければならず、孤独を感じて大きなストレスを抱える人もいます。

そのようなストレスを少しでも避けるために、自分がやりたいことは何か、相手が求めていることは何かを正しく把握する必要があります。

資格がないからといって諦めるのは早いということも同時に言うことができるのです。

努力や頑張りが必要なこともありますが、冷静に求人案件を吟味することがまずは大切です。